吉良 創園長お便り
滝山しおん保育で毎月発行している園だよりに掲載された記事です。
2023年8月号
『寝る子は遊ぶ』
滝山しおん保育園の子どもたちは、本当によく遊びます。よく遊ぶことのできるのは、その子どもが体も心も精神的にも健康なよい状態である証拠。子どもたちは自発的に遊び始め、遊びに没頭して、真剣に遊びます。でもそんな子どもが遊ばなくなる、遊べなくなることがあります。それはどんなときでしょうか。それはいろいろな面で調子が良くないとき、機嫌が悪いときなどで、それにはいろいろな原因があげられます。
まずは体調の面です。熱がある、風邪をひいている、病気にかかっている、お腹が空いている、喉が渇いている、眠たい、だるい、などの自分の体の状態が影響を及ぼします。また、着ている服が気温に対してちょうどよいかどうか、着心地がよいかどうか、運動しやすいかどうか。そんなことも影響を及ぼします。
次は心の面です。悲しかったり、イライラしていたり、怒っていたり。そのような感情が強い時、大声で泣いたり、震えたり、怒鳴ったり、叩いたり、ひっかいたり、蹴飛ばしたり、甘えたり、大人から離れなかったり、抱っこしてもらいたかったり、などのに現れます。このような状態では、子ども達は自発的に遊ぶことができません。
そして精神的な面。自分が親や保育士などの大人に受け入れられていると感じられない、自分が自分でいることができない、何らかのストレスやトラウマを持っているなど精神的な状態がよくないと、やはり自発的にその子らしく遊ぶことはできません。
このような色々な要因が考えられますが、その中でも、現代を生きる子どもたちを遊べなくするのに影響している一つは睡眠です。前の晩によい睡眠をとることができた子どもと、そうでない子どもでは、大きな違いがあります。どれくらい睡眠時間が必要か、どのように寝入るか、目覚めるかなどは個人差がありますが、自分の体を育んでいくことが大きな課題である乳幼児にとって、睡眠が大切であることは言うまでもありません。昔から言われているように、寝る子は育ち、「早寝、早起き」は、この時期の子どもにとても大切なこと。夜更かしをしないで早い時間に眠れるような生活のリズムを作ることは、子どもを健やかに育む、時間的な「おおい」となります。
寝入りをスムーズにするために大切なのは、寝る前の時間を、穏やかに静かに過ごすこと。就寝時間の直前まで大騒ぎをして興奮した状態だったり、テレビ、ゲーム、YouTubeなどのメディアによる強い光や音の刺激にさらされていることは、子どもからよい眠りを奪ってしまいます。スクリーンを見つめているとき、子どもはそれに集中して静かにしていると思ってしまいますが、実はその刺激により内的には興奮している状態になっています。そしてよい眠りが取れないことは、次の日の子どもの状態に反映し、この時期の子どもの大切なお仕事である、自発的な遊びを奪ってしまいます。
子どもがよい睡眠を取れる生活を作っていきましょう。よい睡眠が取れると、子どものぐずり、機嫌の悪さも減っていき、自己治癒力、免疫力を高めることにもつながると思います。