吉良 創園長おたより
滝山しおん保育で毎月発行している園だよりに掲載された記事です。
2024年4月号
『大家族としての保育園』
四月になり、保育園では赤ちゃんも含め新入園児を迎えました。当たり前のことですが保育園には、メンバーは変わっていくけれども、常に〇歳から六歳の子どもがいて、〇歳から入園した子どもも六年経つと卒園して、小学校へと巣立っていきます。
家庭の場合、この点は保育園と大きく違います。家庭のメンバーは通常同じで、同じチームでの生活が続いていきます。そして、それぞれのメンバーは毎年一歳ずつ年をとっていきます。今、乳幼児のいる家庭も、数年経つと乳幼児のいない家庭。当然、雰囲気や家族での活動は当然変わります。そして小学生もいない家庭になると、子どもの部活、受験勉強、アルバイトなどで家族皆での活動は減り、子育ての質も変わります。
保育園には、常に小さい子どもがいて、保育の専門家としての大人が子どもと関わります。それに対し家庭では、子どもはどんどん大きく成長していきますが、親にとって、特に一番目の子どもは、何歳になってもその年齢の子どもと接するのは初めて。この意味で子育てのアマチュアであり続けます。しかし親こそが、子どもに対して一番の責任を負っているのです。このことが子育ての大変さの一つの原因でもあります。
現代社会の大きな問題の一つは「親になるための教育」の欠如ではないでしょうか。学校で、親になることや子育てについて、特にその素晴らしさについて学ぶチャンスはほとんどありません。現代人は、親になることについて知らないまま親になり、体験を通して少しずつ親になっていくしかありません。昔は、大家族や長屋暮らしや村社会などで、先輩の親たちがいて、親になることを生活の中で直接体験しながら学ぶことができましたし、動物的な本能として親になることが普通にできたのかもしれません。
保育園が、昔の長屋や村社会のような大家族だと想像してみてください。子どもたちはいろいろな大人たちに見守られ、その多様性の中で、健やかに育っていくことができるのではないでしょうか。そのためには、家庭と保育園の共同作業がとても大切です。
今の滝山しおん保育園には専門家としての保育士でありながら、家庭では自分の子どもを育てている素敵な人間味あふれる先生がたくさん。これはとても有難いことだと思っています。
保育士は、親から離れて保育園で過ごしている時の子どものことをよく知っていますし、子どもの成長発達などについても学んでいます。子育てで何か困ったことや悩み事などありましたら、ぜひ保育士に話してみてください。すぐに解決策が見つかるかはわかりませんが、話を聞き、寄り添って、何らかのアドバイスはできるのではないかと思います。子どもたちの健やかな育ちのために、乳幼児のいる生活を楽しみつつ、ご一緒に歩いて参りましょう。