吉良 創園長お便り
滝山しおん保育で毎月発行している園だよりに掲載された記事です。
2023年10月号
『30年後の君たちは?』
先月の私の誕生日は、園児たちにもお祝いしてもらいました。園長先生になってよかったと感じるひと時です。
「何歳になったの?」と聞かれ、昨年が還暦だったので、「1歳!」と答えると、すぐに皆が「えーっ!」と対応。「じゃあ、11歳?」「ちがう、ちがう」「21歳?」「ちがう、ちがう」そして31、41と続き、「51歳?」「ちがう、ちがう」さあ、次だと思ったら、なんと「101歳?」なぜか急に歳を取らされました!
他にもいろいろな質問が。「好きな花は何ですか?」、「食べ物は何が好きですか?」そしてなんと「大きくなったら何になりたいですか?」61歳は、これからどう大きくなるのでしょう?
なんて答えようかと一瞬考えましたが、こう答えました。「大きくなったら、お母さんやお父さんになった君たちに会いたいな」子どもたちはキョトンとしていましたが。
君たちが働き盛りの30歳代になるのは30年後で、私は91歳。さあ、30代の君たちに、会えるかどうか。でも、それを励みにしようかと、思いました。
でも、30年後の世の中はどうなっているのでしょうか? 昨年の5月号の園だよりにも書きましたが、これからは加速度をつけて人間とAIの境界線がどんどんなくなっていき、ヴァーチャルな世界、メタバースの世界が当たり前の生活になっていくのでしょう。2025年に開催される大阪万博は30年後の世界の方向性を具体的に示すようなものになるのかと思います。
人間が人間らしく、ちゃんと地に足をつけて暮らして行くことは、難しくなってしまうのでしょうか? 未来がどうなるのかはわかりませんが、企業や国がその方向に進んでいるのは明らかなのだと思います。
滝山しおん保育園の子どもたちが、南畑牧場で、おひさま農園で、毎日の保育の中で、自然や人間に直接たくさん接して、手足を動かして、造形をしたり、陶芸をしたり、竹登りをしたり、刺繍や料理をしたり、オイリュトミーをしたりライアーを弾いたり、虫や蛙を捕まえたり、畑で採れた野菜を食べたりして行くことは、未来の世界の中で、自分らしさや人間らしさを失わないで生きて行くための、目に見えない力、基盤を育てて行くことにつながっています。
先日、滝山しおん保育園の卒園児(小中学生)合宿がありました。金曜日は雨だったので園舎内にテントを張って泊まり、土曜日は南畑で楽しく過ごしました。それぞれに素直に育っている58人の子どもたちに再会して、君たちなら大人になっても、自分らしく、人間らしく生きて行くことができそうだな、と感じることができて、嬉しくなりました。