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園長お便り

​こちらは、園だよりで掲載されている巻頭言です。

2021年5月号

                 『機嫌のよい子どもと大人』

 

 機嫌よいとき、子どもは自発的によく遊び、食事も美味しそうに食べます。友達とも大きなトラブルなく過ごしますし、ぐずることも少ないでしょう。そして機嫌よく過ごしている子どもには、よい生活習慣がすっと身についていきます。

 

 子どもが機嫌よく過ごしている状態をよく見てみると、身体的にとても健康な状態であることがわかります。体の状態がよいと、心や精神のよい状態を生み出します。健康な体は健康な心や精神の営みの器。その器の中に機嫌のよさが生まれるのです。

 

 これは逆に考えることも出来ます。よい生活習慣が身につくと、子どもは機嫌よく、健康に過ごすことが出来るのです。食事中は座っている、使ったら片付ける、部屋の中で走らない。鼻をかむ、外から帰ったらうがいをする、トイレから出たら手を洗う。靴を脱いだら揃える、椅子は机の下に戻す。生活の中で当たり前にすべきことを、無意識に習慣のようにすることが出来ると、その上にクリエイティブな自発的な遊びや、その子らしい心の営みが始まります。

 

 当たり前のことが当たり前に出来る体を育てること。それは子どもが機嫌よく健康に生活していく上で、とても大切なことです。乳幼児期には、頭を賢くするよりも先に、体が賢くなることが必要なのです。では、子どもが機嫌よく、健康に育っていくためにはどうしたらよいでしょうか。行なうのは少し難しいですが、簡単な答えがあります。

 

 それは、「私たち大人が、機嫌よく過ごすこと。体も心も精神も健康であること。そして大人自身がよい生活習慣を持っていること」。

 

 子どもの傍らにいる私たちが、自分自身が持っていない生活習慣を子どもにだけ求めても、うまくいくはずはありません。乳幼児期の子どもは、無意識に真似をすることによって様々ことを身につけていきます。私たち大人は、彼らにとってお手本です。

 

 また、現代の子どもを取り巻く環境の中には、子どもの機嫌を損なう物がたくさんあります。そしてその多くは、子どもの機嫌を取ることに使われているのです。それらを子どもは美味しいと言って食べ、楽しいと言って遊びます。しかし化学調味料のうま味、メディアからのたくさんの子ども向けの映像や音楽、ゲームやスマホなどは、表面的に子どもの機嫌を取ることができても、深いところでは、子どもの機嫌を損なっていることが多いのです。これら影響を強く受けている子どもは、なかなか、よい生活習慣を身につけることが出来ません。本当に子どもの機嫌をよくするもの、健康にするものは何かということに少し意識的になり、子どもたちが機嫌よく過ごすことができるために本当に必要なものを選んでいけるとよいと思います。

​過去のお便り

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