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創園長おたより

 滝山しおん保育で毎月発行している園だよりに掲載された記事です。

​過去の記事

025年2月号

​『命に力を与えるリズム』

 

 しおん保育園では一月にお餅つきをします。つくのは白いお餅でなく、玄米のお餅。しおんの食へのこだわりがここにも現れています。お餅は五種類で、自家製のあんこ、きな粉、すり胡麻。畑で育だてた大根のからみ、そして納豆。子どもたちが自分達で野菜を刻んだけんちん汁と一緒にたくさん美味しくいただきました。通常の白米のもち米に比べて、つくのに時間がかかりますが、つきあがった玄米餅の味は格別です。

 

 餅つき機や機械でついたお餅も、私たちは美味しくいただきますが、臼と杵で人がついたお餅はやはり美味しさが違います。今年の玄米もちもとても美味しく、それを実感することができました。子どもたちも杵を持って、お餅つきを体験できました。

 

 蒸しあがったもち米が臼の中に入れられると、先ずもち米をつぶしていきます。小さな杵を持ったつき手が息を合わせて、臼の縁から中心へと杵の横の部分でもち米をつぶしていきます。両手で杵を押しながら臼の周りを少しずつ回っていくようにつぶしていきます。皆の呼吸が合ってくると、とてもリズミカルの動きになります。杵と杵がぶつかる音も響きます。見ている子ども達からの掛け声も響いていきます。

 

 もち米がつぶれてまとまると、いよいよ杵でお餅をついていきます。二人、三人で順番についていったり、一人で大きな杵でついたり。ここでもトン、トン、トン、ペッタン、ペッタン、ペッタンと、繰り返しのある動きが続いていきます。そして、つき手だけでなく返し手も重要な役割を果たします。つき手と返し手の絶妙な呼吸が求められます。

 

 リズム良くついていくとき、つき手も返し手も気持ちがよくなっていきますし、お餅をつくことに喜びを感じていきます。そしてそれを周りで見ている子どもも大人も、一緒になって盛り上がっていき、その生命感あふれるリズムを感じていきます。そして人が奏でるリズムが、リズムのエネルギーが、お餅の中に入り込んでいくのです。そのリズムのプロセスがお餅を美味しくしているのではないかと思います。機械でついたお餅との大きな違いです。

 

 お餅つきはその最たるものですが、私たちの生活のために必要な営み、家事仕事、手仕事の中には、その仕事ならではのリズムがあります。包丁で切る、パンやうどんなどの生地をこねる、泡立てる、箒で掃く、雑巾で拭く、針で縫う、編み棒で編む、はさみで切る、鋸できる、釘を打つなどなど。いろいろな活動にはリズムがあり、そのリズムがうまく取れると、その仕事はうまくいきます。そして、その仕事に使っている道具ならではの響きが、音楽のように響き始めます。餅つきの杵と臼の音、ノコギリを引く音、包丁で刻む音、箒で掃く音、泡立て器で泡立てる音。年長さんは織物をしていますが、縦糸に横糸を織り込んでいくのも、上手にやっている子どもの手つきはとてもリズミカルです。

 

 命があるところには、その生き物ならではのリズムがあります。人間の生活の中の仕事のリズムも、人間の命と結びついたリズムなのだと思います。そしてリズムは私たちの命に力を与え、活性化してくれます。成長発達していく子どもたちの生活の中に、人間の命のリズムが響いているといいな、と思います。それは子どもの持つ自ら育っていこうとする意志、生きていこうとする意志に働きかけてくれます。

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